
完了形(現在完了と過去完了)はどう使う?意味と使い方のポイント
英語文法における3つの時制
どの言語にも、動作、出来事、状態が現在との関係でいつ起こるのかを表す仕組みがあり、英語も例外ではありません。
たとえば “I went to school.” と言えば、動詞 went が過去形であることから過去の出来事を表していると分かります。英語では動作、出来事、状態がいつのことなのかは、主に文中で使われる動詞の形によって示されます。
英語の時制は現在、過去、完了 の3つが存在します。
未来も含めるべきだと考える人もいるかもしれませんが、英語では未来は、過去形や完了形のように独立した時制の形として表されるわけではないため時制に含めるべきかは疑問が残ります。多くの場合、未来の意味は単に will + 動詞の原形 のような形で表されます。
まずはそれぞれの時制がどのような時間をカバーするのかを簡単にまとめてみましょう。
| 形式 | 中心的な意味 | カバーできる時間範囲 | 典型的な使い方 | 例文 | 重要ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在形 | 今成り立っていること、習慣的に起こること、一般的な事実として扱われることを表す | 現在、繰り返される時間、時に縛られない一般的事実 | 習慣、事実、状態、一般的真実 | She lives in the US. | 完了した過去の出来事は表さない |
| 過去形 | 動作・出来事・状態を、過去に完了した事実として表す | 過去の中の完結した時点または期間 | 完了した動作、過去の状態、過去の習慣 | She lived in the US in 2020. | 過去の中で完結したものとして述べる |
| 現在完了 | 過去の動作・出来事・状態を現在と結びつける | 過去から現在まで、または過去の出来事で今も関係があるもの | 経験、継続、完了したばかりのこと、現在に残る結果 | She has lived in the US for five years. | 過去と現在を結びつける |
| 過去完了 | ある過去の時点より前に起きていた動作・出来事・状態を表す | 過去のある時点よりさらに前から、その後の過去の時点まで、または別の過去の出来事より前 | 過去のさらに前の出来事、別の過去の時点以前の結果、過去のある時点までの継続 | She had lived in the US for five years before she moved to Canada. | ある出来事・状態が別の過去の時点より前に起きていたことを示し、過去のある時点まで続いていた状態も表せる |
この記事では現在形に焦点を当てて解説します。現在形という名前から、今この瞬間のことだけを表すように思われがちですが、実際にはもっと幅広く使われます。
完了形 (Perfect Tense)
完了形には、大きく分けて次の2つがあります。
- 現在完了:過去の動作・出来事・状態を現在と結びつける
- 過去完了:ある動作・出来事・状態が、別の過去の時点より前に起きていたことを表す
この2つは扱う時間の範囲こそ異なりますが共通点としてどちらも、ある動作、出来事、状態を、別の時点との関係の中で捉えるという特徴があります。
その意味で、完了形は単に過去の事実を述べる過去形とは異なります。過去形は、出来事を「過去の中で完結したこと」として示しますが、完了形は「ある時点とのつながり」に焦点を当てます。
この違いをより理解するため、まずは過去形の文と、それに対応する現在完了、過去完了の文を比べてみましょう。
I opened the door for you.
この文は単なる過去形です。そのため「ドアを開けた」という行為を、過去に完了した出来事として述べています。この文だけでは、その行為が現在とどう関係しているのかまでは示されません。たとえば「ドアを現在も開け続けている」等のニュアンスは一切含まれていません。
I have opened the door for you.
今度は現在完了で書かれています。現在完了は「過去の行為を単なる過去の出来事としてではなく、現在と関係のあるもの」として捉えます。
この文では「ドアを開けた」という行為が今も意味を持っていることが示されています。たとえば「まだドアが開いている」といった現在の状況に繋がっていると考えることができます。
現在完了は文脈次第で「継続」「経験」そして「結果」の3つを表現する時に使われます。
現在完了が少し難しい原因として、文脈が少ないとそれが継続なのか、経験なのか、あるいは結果なのかがすぐには分からないことが挙げられます。もちろん、実際の会話や文章では、前後の文脈によって意味が明確になることがほとんどですが、それは読み手、聞き手が考えなければいけません。
この点については、記事の後半であらためて詳しく見ていきます。
さて、以下は過去完了で書き換えたものになります。
I had kept the door open for you until Wednesday.
この文では、過去完了が、過去のある時点まで続いていた状態を表しています。
現在完了が過去と現在を結びつけるのに対して、過去完了は過去の中の2つの時点を結びつけます。
この文で重要なのは、単に「ドアを開けた」ということではありません。ドアを開けたままの状態が、水曜日という過去の時点まで続いていたことがポイントです。このように、過去完了は、ある状態や結果が過去のある時点まで続いていたことを表すときに使うことができます。
現在完了(Present Perfect)
現在完了は、have または has + 過去分詞 で作られます。
現在完了の形
主語によって、形は次のように少し変わります。
- 三人称単数の主語:has + 過去分詞
- それ以外の主語:have + 過去分詞
現在完了は、過去の動作、出来事、状態を現在と結びつける時制です。その意味で、主に次の3つの意味で使われます。そしてどの意味になるかは文脈によって決まります。
- 継続 (continuation):過去に始まった動作や状態が、今も続いている
- 経験 (experience):今までの人生の中で、ある経験をしたことがある
- 完了、結果 (completion, result):ある動作がちょうど終わり、その結果が今も関係している
ここで大事なのが、現在完了と過去形の違いです。
過去形は、出来事を「過去に完了したこと」として述べます。一方で現在完了は、その出来事を現在とつながりのあるものとして表します。
また、現在完了は通常 yesterday、last year、in 2020 のような、終わった過去の時点を表す語とは一緒に使いません。そうした場合には過去形を使うほうが自然です。
現在完了の例文
では実際に現在完了が「継続」「経験」「完了結果」をどのように表現しているのか例文を通して見ていきましょう。
She has lived in the US for five years.
この文は継続を表しています。「彼女は過去にアメリカに住み始め、今も住み続けている」というニュアンスです。
ただし、文脈によってはもう少し広く「アメリカに5年間住んだことがある」という経験として受け取ることもできます。
どちらの意味になるかはやはり文脈次第でしょう。
I have visited Kyoto three times.
この文は、経験を表しています。話し手には京都を3回訪れた経験がある、という意味です。
ただし、過去のいつ行ったのかという特定の時点については重要ではありません。
We have lost our tickets.
この文は、完了結果、もしくは継続のニュアンスを表しています。
「なくしてしまった」という結果、そして「今もチケットを無くした状態」という継続の意味があります。
The teacher has not arrived yet.
この文も同じく完了結果と継続のニュアンスがあります。
「先生がまだ来ていない」ことを表しています。
Have you ever tried Ethiopian food?
この文は、経験をたずねる表現です。特定の一回について聞いているのではなく、今までのどこかの時点でその経験があるかどうかを尋ねています。
過去完了(Past Perfect)
過去完了の形
過去完了は、次の形で表します。
- had + 過去分詞
過去完了は、過去のある時点よりも前に起きていた動作、出来事、状態を表すときに使います。過去の2つの時点を比べたときに、より前にあったことを示す時制です。
また、単なる動作だけでなく、過去のある時点まで続いていた状態や、その時点ですでに成り立っていた結果を表すこともできます。
たとえば、
She had lived in the US for five years before she moved to Italy.
という文では「アメリカに住んでいた」という状態が「イタリアに移った」という過去の出来事より前に始まり、そこまで続いていたことが示されています。
同様に、
We had lost our tickets before we arrived at the station.
という文では、「チケットをなくした」のが先で、その結果として、駅に着いた時点ですでにチケットがない状態だったことが分かります。
現在完了は、過去の動作、出来事、状態を現在と結びつける一方で、過去完了は、それを別の過去の時点と結びつけます。
過去完了の例文
She had lived in the US for five years before she moved to Italy.
この文は過去のある時点までの継続を表しています。彼女はそれより前にアメリカに住み始めており、その状態が「イタリアに移った」という過去の出来事まで続いていたことが分かります。
I had visited Kyoto twice before I entered college.
この文は、過去のさらに前の経験を表しています。京都を2回訪れたのは「大学に入った」という過去の時点よりも前のことです。
He had just finished his homework when his friend called.
この文は、過去のある時点から見た完了、結果を表しています。友人から電話がかかってきた時点で、宿題はすでに終わっていた、というニュアンスです。
このように過去完了にはいくつかの使い方がありますが、共通しているのは過去のある動作、出来事、状態を別の過去の時点との関係の中で捉えているという点です。